編集者:ケトン体ラボ編集部
公開日:2026.08.17
ケトジェニックダイエットとは?やり方と注意点・糖質制限との違いを解説
最近、よく耳にする「ケトジェニックダイエット」。
興味はあるけど、ほかのダイエットと何が違うの?
そのような疑問を持つ方が少なくありません。
そこで本記事では、ケトジェニックダイエットの基本から具体的な手順、実施における注意点などを詳しく紹介。糖質制限ダイエットなどとの違いについてもわかりやすく解説します。
この記事の監修者
- 五藤 良将さん
- 医療法人社団五良会 理事長 / 竹内内科小児科医院 院長
防衛医科大学校卒業。大学校病院、自衛隊中央病院、自衛隊横須賀病院などで自衛隊医官として勤務。その後、津田沼中央総合病院などを経て現職。中性脂肪や生活習慣病に関する研究・発信を行っている。
この記事の目次
ケトジェニックダイエットとは?

ケトジェニックダイエットとは、食事から糖質の摂取量を大幅に減らし、その代わりに脂質の割合を増やすことによって、体を「ケトーシス」と呼ばれる状態へ移行させる食事法です。
ケトーシスとは、体内でブドウ糖が不足した際、脂肪を分解してつくられる「ケトン体」を主なエネルギーとして利用することです。これにより体脂肪が優先的に消費されやすくなることが期待できます。
糖質制限ダイエットとの違い
ケトジェニックダイエットは糖質制限ダイエットと似ていますが、糖質量の制限基準や体脂肪へのアプローチのしかたが大きく異なります。
糖質制限ダイエットは、1日の糖質摂取量を70~100g程度に制限することで血糖値の上昇を緩やかにし、体脂肪を蓄積しないようサポートします。
一方、ケトジェニックダイエットでは、1日の糖質量は20~50g以下(食パン1~2枚程度)と厳格な食事制限が求められます。そうすることで、体のエネルギー源が「糖質」から「脂質」へと切り替わるケトーシス状態になります。結果、体脂肪を分解をサポートします。
カロリー制限ダイエットとの違い
カロリー制限ダイエットは、摂取カロリーを減らすことで減量をはかる方法で、1日の総摂取カロリーの管理が必要です。
それに対してケトジェニックダイエットは、総摂取カロリーのほか、「PFCバランス」の調整も重要視されます。
PFCバランスとは、食事における三大栄養素「Protein:タンパク質」「Fat:脂質」「Carbohydrate:炭水化物」の比率のことで、ケトジェニックダイエットでは炭水化物に含まれる糖質を徹底して制限しなければなりません。
ケトジェニックダイエットのメリット

短期間でダイエットを目指す方におすすめ
糖質制限により体をケトーシス状態へ移行することで、体脂肪がエネルギー源として消費されます。
また、糖質の摂取量が減ることで体内の水分も排出されやすくなるため、ほかのダイエット方法よりも比較的短期間で結果を出したい方におすすめです。
空腹感が少ない
ケトジェニックダイエットは、糖質を徹底的に減らす代わりに脂質をメインに摂取します。脂質はゆっくりと消化されるため、満腹感が持続し、空腹によるストレスを感じにくいという特徴があります。
血糖値の乱高下を緩やかにする働き
糖質の摂取量を大幅に制限するため、食後に血糖値の急激な上昇や下降が起こりにくくなり、強い眠気やだるさを感じにくくなります。
特に血糖値の急上昇を緩やかにすることで、糖を脂肪として蓄積するインスリンの分泌の抑制をサポートすることが期待されています。
筋肉量を維持しながら体脂肪にアプローチできる
カロリーのみに着目したダイエットは、総カロリーだけでなくタンパク質の摂取量も減りやすくなるため、体脂肪のほか筋肉量も減少する傾向があります。
しかし、ケトジェニックダイエットで制限するのは糖質のみです。タンパク質と十分な脂質を摂取するため、筋肉の分解を抑えつつ体脂肪を減らすことが期待できます。
ケトジェニックダイエットのデメリット
食費がかかる

ケトジェニックダイエット中の食事は、肉類、魚介類、卵、さらにはアボカド、ナッツ類といった良質な脂質などがメインとなるため、炭水化物を中心とした一般的な食事に比べて食費が高くなりがちです。また、ケトーシスをサポートする中鎖脂肪酸が豊富なMCTオイルなどを活用すると、さらに食費がかかります。
特有の体臭「ケトン臭」
体がケトーシス状態に入り、生成されたケトン体がエネルギーとして使い切れず体内に残ると、息や汗から「ケトン臭」と呼ばれる甘酸っぱいにおいが発生します。
こうした場合は、極端な糖質制限を避けて適度に糖質を取り入れることや、水分を十分に補給することが大切です。
さらに、適度な運動により汗をかくなど、日常生活の中での工夫も対策のひとつとされています。
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ケトジェニックダイエットのやり方
ケトジェニックダイエットを安全かつ効果的におこなうには、単に糖質を制限するだけではなく、自身の体に合ったカロリー設定やPFCバランスが大切です。ここでは、具体的な実践手順を3つのステップに分けて解説します。
1日の摂取カロリーを計算する
開始前に、自身の基礎代謝を含めた1日に必要な摂取カロリーを算出しましょう。
たとえば、デスクワークが中心で、1日の身体活動量が少ない20代女性の場合、1日に必要な摂取カロリーは約1690kcal/日です。
ケトジェニックダイエットにおいても、摂取カロリーが消費カロリーを上回ると、余分なエネルギーが体脂肪として蓄積されます。また、極端なカロリー不足に陥ると、体は筋肉を分解してエネルギーを生み出そうとするため、筋肉量が減少し、結果的に体重が落ちにくい体質になる可能性があります。
ケトジェニックダイエットでも過度なカロリー制限はせず、適切なカロリーを設定することが成功へ導く決め手になります。
食事のPFCバランスを意識する

摂取カロリー内でPFCバランスを調整しましょう。炭水化物に含まれる糖質を徹底してカットし、脂質とタンパク質を中心とした食事構成にします。
ただし、タンパク質のとりすぎには注意が必要です。体内のエネルギーが不足した状態でタンパク質をとりすぎると、タンパク質からブドウ糖をつくり出す「糖新生(とうしんせい)」の働きが活発になります。結果的に生成されたブドウ糖がエネルギー源になるため、体がケトーシス状態へ移行するのを阻害します。
ケトジェニックダイエットにおける理想的なPFCバランスは以下のとおりです。
- 糖質:5~10%(1日20~50g)
- タンパク質:20~25%
- 脂質:60~75%
- 五藤 良将さん
- 医師
実は多くの方がタンパク質の摂りすぎでケトーシスへの移行に失敗しています。お肉の赤身ばかりを食べると、体はタンパク質をブドウ糖に変えて(糖新生)エネルギーにしてしまうため、ケトン体が作られなくなります。食べるべきは「高タンパク」ではなく「高脂質」。お肉ならバラ肉やサバなどの青魚、アボカドなど、油をしっかり含む食材を選びましょう。
ケトーシスに入っているかを確認する
ケトン体試験紙(ケトスティックス)を使用すると、体内でケトン体が生成されているかをチェックできます。初めてケトジェニックダイエットをおこなう際、体の状態を把握する目安になるのでとても便利です。
また、朝、夜、運動後によって体内のケトン体濃度は異なります。自身の状態を正しく把握するためにも、測定するときは時間を決めておこないましょう。
食べていい物・控える物

ケトジェニックダイエットでは、厳格な糖質管理が求められるため、摂取可能な食材と避けるべき食材を事前に把握しておく必要があります。
食べていい物
食べていい物は、糖質量が極めて少なく、良質な脂質やタンパク質を豊富に含んでいる物です。以下にあげる食材は、低糖質でありながら活動に必要なエネルギーや体組織を維持するための栄養素を補給することができます。
- 肉類
- 魚介類
- 卵
- 乳製品(無糖・高脂肪)
- 油脂類
- ナッツ類
- 野菜
- きのこ類
食べるのを控える物
控えるべき食べ物は、糖質が多く含まれている物です。また、通常の食事で健康にいいとされている「果物」「豆類」にも多くの糖質が含まれているほか、加工食品や調味料にも糖質が多く使われている物があるので注意が必要です。
- 穀類
- 砂糖類・甘味料
- 芋類
- 果物
- 豆類
- 加工食品・清涼飲料水・スイーツ
- 砂糖が多く含まれる調味料
- 糖質が多いアルコール類
- 五藤 良将さん
- 医師
落とし穴は「味付け(調味料)」です。市販の焼肉のタレ、ポン酢、みりん、ケチャップには驚くほどの糖質が含まれています。ケトジェニック中の味付けは、塩、コショウ、醤油(少々)、オリーブオイル、MCTオイル、そしてマヨネーズ(砂糖不使用のもの)をベースにするのが確実です。
ケトジェニックダイエットをおこなう際の注意点
導入期の「ケトフルー」に注意する

体のエネルギー代謝がブドウ糖からケトン体に切り替わる際、「ケトフルー」と呼ばれる一時的な倦怠感、頭痛、吐き気など、風邪に似た不調が生じる場合があります。
ケトフルーが起こったときは、水分や塩分を意識的にとり、無理をしないことが大切です。不調が長引いた場合は中止し、医療機関へ相談することをおすすめします。
- 五藤 良将さん
- 医師
ケトフルーは体がブドウ糖依存から脂質依存へ切り替わる際の一時的な反応です。通常1〜2週間で改善しますが、症状が強い場合は無理をせず医療機関を受診してください。持病がある方は必ず事前に医師へご相談ください。
短期間で集中的に実施する
極端な糖質制限を長期にわたって継続すると、栄養バランスの偏りによる体調不良などのリスクを伴います。
ケトジェニックダイエットをおこなう期間は数週間から数ヶ月程度を目安にし、目標達成後は適切なカロリーを守りつつ、少しずつ糖質量を増やしていきましょう。目安は、1食20~40gで、1日70~130g程度がベストです。
停滞期での安易なチートデイを避ける
体重が落ちにくくなる停滞期に、意図的に糖質などの摂取量を増やす「チートデイ」を取り入れることがあります。
ケトジェニックダイエット中に多量の糖質を摂取すると、体脂肪を分解してつくられるケトン体をエネルギーとするケトーシス状態が解除されます。再びケトーシスに移行するまでに時間を要するため、安易なチートデイは避けるのが適切です。
摂取する脂質の「質」にこだわる
ケトジェニックダイエットでは脂質が主な食事となるため、摂取する脂質の「質」が重要になります。マーガリンやショートニングといった加工食品に多く含まれるトランス脂肪酸は避け、良質な「不飽和脂肪酸」を意識的に選択しましょう。
たとえば、DHA・EPA(n-3系多価不飽和脂肪酸)が含まれているサバやイワシといった青魚、オメガ3系脂肪酸が含まれているアマニ油やエゴマ油、オメガ9系脂肪酸が含まれているオリーブオイルなどです。
ケトジェニックダイエットをサポートする便利なアイテム
MCTオイル
MCTオイルとは、ココナッツなどに含まれる「中鎖脂肪酸」を100%使用した油のことです。
一般的な植物油や肉類に多く含まれる「長鎖脂肪酸」は、消化・吸収の過程でリンパ管などを経由するため、エネルギーとして使われるまでに時間がかかります。一方、MCTオイルの主成分である「中鎖脂肪酸」は、小腸から直接肝臓へと送られます。そのため、肝臓で効率的に分解され、速やかにケトン体へと変わり、ケトーシスへの移行をサポートします。
MCTオイルは無味無臭で料理や飲み物の味を損なわないため、食事に取り入れやすいという特徴があります。ただし、加熱にとても弱いため、飲み物に混ぜる・サラダにかけるといった生食での摂取が基本です。
ケトン体試験紙(ケトスティックス)
尿中のケトン体濃度を測定できる試験紙です。ケトーシス状態への移行を客観的に確認できるため、自身の体の状態を把握するのに役立ちます。
ケトン体試験紙は、ドラッグストアといった実店舗で取り扱っていない場合が多いので、通販サイトで購入するといいでしょう。
ケトン体を外から摂取する
ケトン体そのものを外から経口摂取することで、ケトーシス状態への移行がスムーズにおこなわれると考えられております。慣れない食事制限によるストレスを軽減でき、また、ケトフルーを起こしにくくすることも期待できます。
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まとめ
ケトジェニックダイエットとは、糖質の摂取を厳格に制限し、体の活動に必要なエネルギー源をケトン体に切り替えることで、体脂肪を消費する食事法です。
メインの食事が脂質となるため、実施中は空腹感によるストレスが少なく、ほかのダイエットと比べて短期間で効果を期待できるというメリットがあります。
また近年では、ケトン体を外部から補給するといった選択肢も増えています。
食事制限をおこなう方法であっても、ケトン体配合のサプリメントなどを利用する方法であっても、ケトジェニックダイエットをおこなう際は、自身の体調をよく観察して実施しましょう。必要に応じて医師や管理栄養士などの専門家に相談しながら進めることをおすすめします。
よくあるご質問
- 五藤 良将さん
- 医師
個人差がありますが、糖質制限をししっかり脂質を摂取し始めてから通常2〜4日、遅くとも1週間程度で体がケトン体を生成し始めると言われています。
- 五藤 良将さん
- 医師
正しい知識なしで行うと、体調を崩すリスクがあります。特に水分・塩分不足による脱水や、食物繊維不足による便秘、極端な脂質摂取による肝臓への負担などが懸念されます。持病がある方は必ず医師に相談してください。
- 五藤 良将さん
- 医師
数週間経っても倦怠感が続く、強い口臭や体臭が気になる、などの症状がひどい場合は、体質に合っていない可能性があるため、中断して緩やかな糖質制限に切り替えることをお勧めします。
- 五藤 良将さん
- 医師
高カカオチョコ(85%以上)素焼きナッツ、あたりめ、チーズ、ゆで卵。飲み物は無糖の炭酸水や、ブラックコーヒー、お茶を選びましょう。
この記事の監修者
- 五藤 良将さん
- 医療法人社団五良会 理事長 / 竹内内科小児科医院 院長
防衛医科大学校卒業。大学校病院、自衛隊中央病院、自衛隊横須賀病院などで自衛隊医官として勤務。その後、津田沼中央総合病院などを経て現職。中性脂肪や生活習慣病に関する研究・発信を行っている。
この記事の編集者
ケトン体ラボ編集部
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糖質を摂ると血糖値が急上昇したあと、インスリンの働きで急降下します。この「血糖値の急降下」こそが、脳に強い空腹感を感じさせる原因です。脂質メインの食事にすると血糖値が常に一定に保たれるため、自然と食欲が落ち着くようになります。